メモ帳

本読んだりゲームしたり。どんなことを思ってたか後で思い返すためのやつ

君の名残は静かに揺れて まとめ

FlyableHeartの続編というか茉百合さんとの後日談。
大正モダンな洋館で繰り広げられる旧名家の因習とか性の暴走とか呪われた血族とか。

晶くんワールドで二人がくっつくまでの第一部と、
実家に乗り込んでお家問題に首を突っ込む第二部の、
おおよそ二部構成でした。


第一部は、パパの心臓が入っていない桜子と、茉百合さんのなれそめとか
茉百合さんの出生や実家での扱い、晶くんパパとの出会いと別れなど細かいバックグラウンドとか
晶くんワールドと結依ワールドの齟齬の補完とか。

パパの去就や実家での扱いに関連する茉百合さんの心理状態とか、晶くんとねんごろになるまでの経緯とか、
原作で引っかかっていた部分がおおむね納得行く形で描かれています。
後付け臭いけれども。


第二部は婚約願いに行っていじめられたりお家のゴタゴタに巻き込まれたり。

会長との婚約破棄と晶くんとの婚約を認めてもらうために白鷺家へ向かう一行。そこで彼らが見たものは。

父と使用人の不義の子として生まれ、正当な娘としての教育と使用人としての待遇という訳の分からない扱いをされた茉百合さんの、その出生の秘密を明かし呪われた宿命に終止符を打つような話。
まあ正直初登場した時点で、ああこの人がママだなって見当ついてました。

お家の為と孫ひ孫の為によかれと思ってわけのわからない子育て方針を決めてしまった巴ばあさんの苦心や、かわいいお嫁さんは要介護、娘に浮気をするも相手にされず、と何もかもうまくいかない利彦さんの迷走ぶりが一番の見どころ。
事態は解決するものの、晶くん茉百合さんペアのお二人は結局なにがなんだか分からないまま帰って行く辺り、言わぬが華、みたいなカンジでよかったですね。

あとパパがハッピーで本当によかった。
桜子さんの去就についてはご想像にお任せしますというところかしら。まあ考えないようにしとこね。

 

以下、白鷺家の中の人についてあれこれ


利彦さん

色々ひっかきまわして状況をややこしくした張本人。婿入り先であれこれ翻弄されて人格歪まされた点では被害者。ロリコン

政略結婚の相手が美少女の小百合さんでハッピー入るが実は男性不信のメンヘラ長女であることが発覚し、小百合さんの介護に会社経営にと尽くすも報われず、思い悩む日々を過ごす。
そんな中、余人には理解できない扱いを受けるロリ茉百合への同情から親切に接する内にロリコンに目覚めるが、ちょっと親密になったと思った直後に晶くんパパに茉百合さんがメロメロになって嫉妬の炎に包まれる。ぼくがさきにすきだったのに。
あいつは死んだ、もういない。とロリ時代の茉百合さんにウソを吹き込んで絶望に叩き込んだのはこいつの仕業。あと絶望して無気力状態の茉百合さんにレイプ未遂起こしたりした。

晶くんに対してもパパと同じように敵愾心を抱き、茉百合さんと引き離そうとするんだけどもなんやかんやあって根本的には二人を助けたかっただけだとか小百合さんラブであることとかを思い出してメンヘラ治療に一役買った。まあそんなに悪いやつじゃなかったよ。

 

巴ばあさん

黒幕。殺人事件だったら最初に死にそう。

変態息子が孫を孕ませたもんだから、お家のために不祥事は隠さないといけないし、長女のケアもしないといけないし、その上で孫なんだかひ孫なんだかよく分からない立場の茉百合さんもよく分からない立場で育てないといけないしでわけがわからない。苦労人。

孫娘に対する愛情はあるがあくまでお家第一なスタンスは一般大衆の身では理解しかねるが、まあそういうものなのかと思えば、そうするしか無かったのかなと。

若いころに恋人と駆け落ちして捕まった。というかしんどそうなヤング巴を見かねて男が去った。
晶くんと茉百合さんをかつての自分と恋人に重ねて居る様で、晶くんが巴さんと名前呼びするとデレる。

晶くんパパの事をやたら嫌ってるけど理由がふわっとしててよくわからない。よそ者、それも一度立ち入った者を殊更忌避するってなんだ。単に火薬庫状態の家に余人を近づけたくないだけという理解でいいのかしら。

 

三女

愉快犯で確信犯のサイコパス

物語を展開させるパーツとして色々ひっかきまわすがロクなもんじゃない。
最後にスコップ渡してくれたしまあそんなに悪いやつじゃなかったよ。

 

小百合さん

四姉妹長女で茉百合さんのママでわけがわからない。
ちなみに法的には近縁の血縁者は父として認知されることはなく、茉百合さんは出産者である小百合さんの私生児みたいな扱いになるみたいです。本来は。

美しすぎる罪で幼女時代に父親に孕まされたロリコン殺し。長じて芽生えた幼女人格もまたロリコン殺しで利彦さんをメロメロにした。

父親にレイプされるわ孕まされるわでもう人生めちゃくちゃ。娘なんていないし妹なんていないし好きとか嫌いとか言い出すと発狂する。
認めたくないけど娘だし歪んでるけど心配だし、色々ぶちまけて終盤大活躍。
なんやかんやで安定して晴れやかな顔で二人を見送るけど先行き不安。

 

霞織さん

四姉妹次女で名探偵。若いころに恋人と駆け落ちして捕まった。こんなんばっか。
でも今ではそれも人生の糧となった。鉄の女。
事情聴取の折に核心を突きまくり小百合さんをを発狂させた。

小百合さんを発狂させて真相を暴いて巴ばあさんに答え合わせして帰って行っただけ。
何しに来たの?まあ何もできませんよね。
ひとまず安定したとはいえ、ほんの二日前に発狂してるところ見てるのにラストで小百合さんに同じネタ持ち出すあたりデリカシーに欠ける人だなあと思いました。

 

ハナマサの大豆ミート入りサイコロステーキのこと

肉のハナマサでサイコロステーキが大豆ミート入りにリニューアルしてたから食べてみた。
なんとお値段100グラム99円。まあ安い。もう牛肉の値段じゃないね。牛肉じゃないもんね。
まあ元々100グラム128円とかで売られてたクソ安食肉ではあるのだけど。


食べてみた感想。


食感はサクサクというかザクザクしてる感じ?でまあ悪くない。従来のサイコロステーキが持っていたギトギト感と大豆肉特有のモソモソ感が見事に中和された形で良い塩梅かと。
大豆肉がシャバシャバしてマズいと感じるのは水でふやかしているからであり、牛脂でふやかして使えばしっとり良好な食感になるという新事実。宗教も健康も知らんぷい。


そんでお味の方はどうかと言うと、まあ、そのちょっと言いづらいんですけど、これが受け入れられるのはちょっと難しいんじゃないかなあと。
大豆肉全般についてもう再三言われてると思うんだけど、肉の味じゃないんだよねこれ。味と言うか匂いがね、完璧に大豆製品なの。なんなら焼いてる間もレンジで厚揚げ温めてる時みたいな匂いだったし。

サイコロステーキの形状をしているのに、大豆製品たとえば油揚げのような匂いがするわけですよ。なんつうか、こう、違和感がすごい。階段がもう一段あると思って踏み出したら地面だった、みたいな。うん何言ってるかわかんねえや。
僕はまあこれがそういうモノだと分かって買って、焼いて、食ってるわけだから諸々了承済みで、だからそんな違和感も楽しめるんだけれど、事前知識なしでサイコロステーキですよさあお食べとやられたら、なかなかキツいんじゃないかって思うんですよね。

結構クソミソに貶しているようだけど実は、個人的には大分アリです。豆類は大体好きなので。
ただどうしても見た目から期待する味っていうのがあって、実際に口に入れた時にそれと乖離していたら、あれ?なんかヘンなもん食ってるんじゃない?やばない?ってなると思うんですよね。違和感がなくなるほどに一般化すればあるいは、とは思うけどこれもう卵か鶏かみたいなハナシになっちゃうし。


結論としては、サイコロステーキのような何か。

畢竟、大豆をどうしたって肉にはならない。コストと手間に糸目をつけなければ結構いいところまで行けそうではあるけどそれはともかく。
明らかに別物なのに、「本物のお肉と見分けがつかない!」なんてすぐバレる嘘を付くから違和感を意識せざるを得なくなり、胡散臭いまがい物のような目で見てしまうのであって、ちゃんと大豆の味がする、豆腐とか油揚げみたく大豆製品の一ジャンルなんですよって言ってくれれば消費者側としてもまた違ったスタンスで臨むことができるんじゃあないかなあ。

 

最近流行りの大豆ミートに真に求められる物は「肉っぽくなさ」であるという新学説を提唱してみたところでこの項おわり。

FlyableHeart まとめ

ブコメでいいんですかねこれ。シビアすぎだろ。

晶くん目線で個別ルートを繰り返しつつ、読者目線では世界の謎を解き明かして行く構造が上手く機能していて大変楽しめました。止め時が見つからないとはよく言うけれど、ストーリーを一本終える毎に情報を整理、考察して次に臨む流れで楽しめるこの作品は、良い意味で止め時が見つけやすい良作と言えるのではないかと。
ただ順序によって全然違う感想になりそうではあるかも。自分は敢えて核心から遠そうなヒロインを先に選択して遊んだのだけど、最初に結依選んだりしたら色々台無しになりそう。

全体としては良くできている二重構造ではあるのだけれど、個別での情報の提示に重きを置きすぎたのか、桜子や茉百合さんのルートではおはなし自体が薄いというか粗いというか。大枠として重要な情報を提示するルートなので、必要な事だっただろうしそれ自体のインパクトは十分だったのですが、全体の設計に個別の物語が縛られすぎてしまっていた印象でうーん。

まあさんざケチつけてはいるものの、個別それぞれで見ても、ファミリードラマやパパの去就、中身空っぽのツンデレ萌えに果ては自分自身だったりと、バラエティー豊富かつフックが効いていて面白かったです。


最初にやった天音ルートで出てきたからオズの魔法使いが共通のモチーフなのかと思ったけれど、明確に扱ってたのは結依と天音くらい?
対応させるなら、天音がライオン、桜子がブリキのきこり、茉百合がカカシ、九条が魔女で晶くんすずねがドロシーかしら。役割的には晶くんだけど設定とか立ち位置はすずねの方がドロシー的かなと。

結依は役なしというとアレですが、こいつだけ環境人格とも問題を抱えておらず、終始健全かつハッピーなんですよね。強いて充てるなら飛ばされなかったドロシーでしょうか。竜巻は来ませんでした。ドロシーは幸せに暮らしました。


やる前はイラストが売りのしょっぱい萌えエロゲだと思ってたんですが、飽きない作りでお話もちゃんと面白く、良い拾い物でした。ユニゾンシフトの500円セールは不相応なくらいに良い物を置いてますね。

 

パパ殺したことは許してないけどな。

FlyableHeart すずのルートのこと

記憶喪失の未来人でステルス機能付き。
誰からも認識されず不安な身の上を要救助者に保護してもらうっていうのはドラマティックでよき。
晶くんと関わる中で幽霊にまつわる意識の変化がくるくる変わるのもベタですが味わい深かったです。

晶くんがタイムマシン開発に協力して未来で再会っていうのはドラえもんのウソエンドみたいでぐっとくるけど、すずのちゃんの記憶が戻った時点で晶くんが関係者だということは把握できてるだろうし、悲劇のヒロインぶってるけど実際のところ薄々後の展開予想付いてたんじゃねえの?晶くんが未来で自分を待ってんの知ってたんだろ?あん?とか思っちゃった。そうでなくても要救助者とデキたあげく諸々終わって戻ってきたら相手が待ち受けてたとか無茶苦茶きまずそう。

バッドエンドぶん投げ問題は逆転制御現象で大体フォローできてると言っていいのかな。1日戻って晶くんワールドで全部解決したから結依ワールドにも反映されてハッピーエンドだぜやったぜ。という解釈で。
逆に桜子ルートでパパが突然死した理由にもそこらへんが絡んでるんじゃないかと思うんだけど納得行く解釈が浮かばないなあ。どんな理由であっても絶対許さないけど。

あとタイムマシンで迷子の晶くん救出作戦とかいってまあ殆どのルートでは任務完遂してはいるものの、九条が砂になるのは深刻なパラドックスを引き起こす恐れがあったのでは。ヤブヘビにも程があるだろ。タイムマシンこわい。

九条2号の最後のコメントは改めて思い返すと、こいつも丸くなったもんだなと思えてクスっとくる。。

FlyableHeart 九条ルートのこと

晶くんのハイパー遺伝子のおかげで実験が進展した九条は晶くんに接近監視。
なぜかデートに誘い出して睡眠の重要性を説かれることでデレる。ツンデレっていいものですね。
いやさすがにちょっとチョロすぎやしませんかね。
ツンデレ天才幼女に時代を感じる。名前もルリついてるし。

男嫌い時代のメールを誤配信してしまってパニック状態になり過去移動失敗で砂化。
からのすずのマジックで1日戻ってやり直して誤解が解けて5分未来に飛んでハッピーエンド。
戻ってるというか世界が違ってるっぽいですが。
結依と桜子以外のバッドエンドぶん投げ方式についてフォローがあることを祈りたい。

すずのが積極的に干渉してくることと九条2号が出てこないことが特徴的。
砂になったからかな?
あと1日ズレることも気になる。並行世界のようで実は世界が一周違ってましたとかも最近見るけど、
パパ絡みの人間関係台無しだしそれはないか。

飛揚性健忘症のはなしとか、オープニングで押したのは自爆ボタンだったとか、結依ワールドで花火を打ち上げたのは生徒会長でしたとか、作品背景に絡む情報もりだくさんでした。
あと生徒会長とママのこととか九条が男嫌いになったいきさつとか。天音ルート見た後だとこのへんのやりとりを見るのも感慨深いですね。会長もママも過去にやらかしてるだけに説得力がすごい。

メールでは監視とだけ言ってたけどこれもママへの配慮なのか、実際には晶くんへの接近を始めた当初からやや好意的というか慣れてないなりにサービスしてやるか、みたいな態度でしたね。ツンデレだね。

FlyableHeart 結依ルートのこと

双子疑惑からの非実在青少年疑惑からの異世界転生オチ。

晶くんと結依はパラレルワールドの同一人物でしたという解釈でいいんですかね。
抜くだけ抜いてから落ち着いて考えると、女体化した自分と恋人になるってちょっと妄想するにもキツすぎて受け止めきれない。自分自身とセックスして子を作るってなかなか狂気の発想ではないでしょうか。

晶くんはつまり魔法の国に飛ばされたドロシーで、カンザスには帰らずに魔法の国のみんなと仲良く暮らしましたというおはなしだったわけですが。
すずのが大きく関与してくるので、切替えタイミングが遅くなったりそもそも切替わらずに結依ワールドで過ごすことを選択したりとこれまでとは展開がかなり変わってくるルートでした。犯人はお前か。そうだろうとも。


しかし晶くんパラレルワールドの異邦人説を真とした場合、天音ルートや茉百合ルートだとかなり悲惨な状態のまま放置してきてるしヒロインズみんな置いてけぼりなんですがいいんですかねそれで。そもそも切替わりの前後で晶くんとヒロインズの関係性が変化してないのは不自然ですよね。毎回終盤に九条が出てきて恋人聞いてくるのと関係あるんだと思うけれど、実態は電脳世界のシミュレーションでなんもかんもお膳立てして上げてたよみたいなのはちょっと嫌だなあ。

パパが生存してた世界を捨てて結依ワールドを選ぶのと、桜子とくっつくと生存してたパパが死ぬのはなんかシビアな二者択一感が似てるなあと思いました。

FlyableHeart 茉百合ルートのこと

少女時代に晶くんパパにトラウマ植え付けられ、その息子である晶くんを遠ざけようとしてたけど力業で何となくくっついた。真っすぐな強い気持ちは何物にも勝るのです。よくわかりませんけど。

桜子ルートと同様、文化祭終了時点で世界が替わってる。便宜的に切替わり前、切替わり後と呼ぼね。
あとよくよく見ると天音ルートでも桜子消えてるね。切替わってるね。

桜子ルートではインパクト重視で切替わりを表現しているのに対して、
茉百合さんルートでは情報の齟齬を見せる形で切替わりを表現している印象。

切替わり前は、生徒会長が晶くんの身辺調査を行い、転入前の学校に在籍記録がない、茉百合さんに見せられない調査結果を得るが、切替わり後は理事長ママが晶くんを招待したことになっており、身辺調査を行った事実は残っているが理由を忘れている。で良かったかな。あと桜子は病院に逆戻しで瀕死。のちに恐らく死亡。見舞いに行ってお気の毒様で花を持ったまま戻ってきてそんなようなこと言ってたよ。

でも茉百合さんの物語として見ると、切替わり前後で一番大きいのは茉百合先輩の晶くんパパに対する想いなんじゃないんですかね。
切替わり前はパパ死んでるし、自分を庇って殉職した素敵なおじさまの息子ということになるし、
切替わり後はパパ生きてるし、自分を庇ってケガした素敵なおじさまの息子ということになるしで、
茉百合さんのトラウマがメインの問題だと考えると、パパの生死は大きいんじゃないかなあ。そこ変えちゃっていいのかなあ。
というか設定軽くして乗り越えやすくしときましたー。みたいに見えてしまってうーん。
情報の提示に意識を割きすぎて物語が雑になってしまったように感じました。

あとオズの魔法使いは出てきませんでした。